融資の現場

設立すぐの小規模な事業所でも借りられました

大阪府 Aさん(税理士)

業種卸売業
年商7,000万円
社歴1年
従業員数3名
融資額1,200万円
成功の決め手仕入先と売先が大手
報酬額なし
case-01

(2016年7月取材)

卸売業は年商が膨れやすい

A氏

まだ設立2年目くらいだったでしょうか、若い企業さんでした。また、卸売業の場合粗利率が15~20%と低い分、事業を成り立たせるためにはどうしても年商が膨れる傾向にありますので、7,000万円だとそう大きな規模でもないんです。

協会

でも借りられたんですね。

A氏

借りられました。そもそも年商7,000万円で1,200万円の融資は、無茶な金額でもなくて。融資額のMAXはだいたい月商6ヶ月分と言われていますから。

協会

1,200万円の内訳は。

A氏

400万円が信用保証協会、800万円が日本政策金融公庫です。

先に支払い、しかも相手が大手で保証金が必要

協会

融資の目的は。

A氏

まず、仕入れ代金。卸売業は先に支払いが発生しますし、動くお金が大きい。次に、仕入れ先への保証金。

協会

保証金?

A氏

その仕入れ先は、ある大手の有名企業さんなんです。そこから「弊社の商品を取り扱うなら保証金を積んでほしい」と言われたとのことで。

協会

仕入れ先が大手の有名企業…。

A氏

実は、売り先も大手で、こちらも誰もが知っている有名な企業さんです。金融機関としては、それが融資の決め手になったようです。会社の歴史が浅くても、規模が大きくなくても。

協会

そこでAさんのサポートは。

公庫面接の前に打ち合わせ

A氏

融資の際、公庫さんで面接があるんですが、その事前打ち合わせを行いました。公庫さんではこんなことを聞かれるから、こう答えましょうとか。

協会

何を聞かれるんですか。

A氏

どういう会社であるかとか、今後の見通し、融資が必要な理由、返済計画…というところでしょうか。あと1点、このケースでアドバイスしたことがあって…それは、用紙の書き方なんです。

協会

普通に書いていいのでは?

A氏

そのとおりです。ただ、公庫さんへの提出書類のなかに、創業計画書や企業概要書があるんですが、この2点は手書きだったんです。今はエクセルやPDFの様式もありますが、当時は紙のみでしたので。

協会

なるほど、そういう時期もあったんですね。

A氏

はい、だから、手書き。で、この経営者さんは、なんというか、「のびのびと」書いておられて…。

協会

ああ、「のびのびと」…。

A氏

もちろん大切なのは、書かれてある内容です。でも、たとえ達筆でなくともていねいな字で書いた方が相手の心証がいいですよ、きちんと返済する気のある人物だと思っていただきやすいですよと、アドバイスさせていただきました。もちろん今はほとんどがエクセルやワードですが、それでも契約書のサイン等はどうしても手書きですしね。

協会

ところでこの融資案件では、報酬をいただいていないんですね。

A氏

私の顧問先なので、これくらいは顧問料の範囲内でさせていただいています。

経験と人脈で融資支援を盤石に

協会

融資サポート、慣れておられるご様子です。

A氏

独立前の勤務時代から手がけていましたし、今も年に何度か顧問先からコンスタントにご相談いただくので。

協会

数をこなして経験を積むと、さらにサポート力も上がりますよね。

A氏

私自身の慣れも大切ですが、いざというときに相談できる、自分よりずっと融資に慣れたエキスパートが私の周りにいるんです。たとえば、いくつか金融機関とのパイプを持っているようなコンサルタントさんとか。そういう融資に強い人脈があるからこそ、私も安心して顧問先からのご相談をうけられるんですよ。

(おわります)

【今日のまとめ】

  • 若い企業でも、小規模の事業者でも、内容次第で融資はおりる
  • 仕入れ先や売り先が名前の通った企業だと、金融機関は納得しやすい
  • 手書きの提出用紙は、ていねいな字で記入する